舌の上に苔のように付着している汚れ「舌苔(ぜったい)」。
口臭関係の本には、舌苔がイヤな臭いの原因であると書かれていることが多いかと思います。
そのため、舌苔に対してとても神経質になり、少しでも白くなるとゴシゴシこすって汚れを落とそうとする方もいるでしょう。
あなたも、もしかしたら熱心に「舌磨き」をしていませんか?
もしそうなら、それは今日からやめるようにしてください。
専用のブラシが口臭予防グッズとして売られていますが、そうしたものを使う必要はいっさいありません。
確かに、舌苔は過剰に付着すれば、口臭の原因となります。
でも、舌苔は、舌やお口の健康を維持する上で必要でもあるもの。
口臭を気にして、白さがなくなるまで舌をゴシゴシしては、最低限必要な舌苔まで取り除いてしまい、かえって口臭を悪化させます。
舌苔を取りすぎると、どんなふうになるか・・・次の3つの面で口臭に悩まされることになるでしょう。
(1)乾燥しやすい舌になる
表面にうっすらと白くあるべき舌苔。それがないむき出しの舌には、血液が集中して流れてきます。舌苔を取りすぎた人の舌が鮮やかなピンク色なのはこのためです。
血液が集中してきた舌は熱を持ち、慢性的な炎症状態となります。
そうなると、口の中でだ液が揮発しやすくなることに。
だ液分泌の促進こそ口臭解消にもっとも大切なこと。それなのに、これでは逆効果。
「舌磨き」の習慣がかえって口臭を悪化させてしまうのです。
(2)舌苔の再生サイクルが早まる
本来必要な舌苔を取り除いた結果、生体側の防御反応が起こります。
それは、舌表面の粘膜を保護しなければと、より早く新しい舌苔を作り出す現象。
一種のリバウンド現象とも言えるでしょう。
取っても取っても、すぐ舌苔が付着するため、やがて正常量以上の舌苔が付着するようになってしまいます。
このような舌でだ液不足になると、舌苔に溝やひび割れが現れて口臭に結びついていくことになるのです。
(3)お口の中が酸素不足になる
口の中を衛生に保ち、口臭をなくすためには酸素が必要。
でも、呼吸によって取り入れる空気からの酸素ではダメです。
新鮮なだ液からもたらされ、そこに溶けている酸素。
これが舌苔に住み着き、悪臭を放つ細菌を抑制するのです。
舌苔を取り除こうとしてゴシゴシこすると、絨毯のようになっている舌の上の突起した細胞まで削り取ってしまうことになります。
この突起があるから、舌の上に新鮮なだ液を溜め込み、酸素を送ることができたのに、それができなくなってしまうのです。
以上3つが、舌苔を取り除く行為がもたらすリスクになります。
また、歯磨きのついでに歯ブラシで舌を磨いているあなたは要注意。
というのも、多くの歯磨き剤に含まれる界面活性剤・保存料・色素などがアレルゲンとなって、舌苔を増やしているという研究結果もあるからです。
これらの成分を含むマウスウォッシュやうがい薬も、同様に考えた方が良いかもしれません。
舌苔は気にしすぎず、磨かない方法で少なくするようにしましょう。
それには、規則正しい生活と食べるものに気を配ることが基本となります。